栞いろは歌  禅のことをもっと…

随処作主 立処皆真(ずいしょにしゅとなれば りっしょみなしんなり)

臨黄ネット栞「す」 随処作主 立処皆真(ずいしょにしゅとなれば りっしょみなしんなり)

随処に主となるとは、どこへ行っても自分が大将になって威張ることじゃない。釈尊はこの世界の主になられたから、「今此の三界は皆な是れ我が有なり、其の中の衆生は悉く是れ吾が子なり」と言われた。これが主人公の心境でなければならん。この世界はわしの家で、隅から隅までわしのものだ。その中に暮らしておる人類はもちろんのこと、牛も馬も、犬も猫も、魚も鳥も、蝶々も蜻蛉も、蟻や蚊さえも、皆わしの子供じゃ。蟻一匹殺してくれるな。蚊がとまったら血を吸わせてやってくれ。これが世界の主人公の境界でなければならん。そういう大きな温かい心境で日暮らしするならば、その人の行動はすべて真実であることは当然である。

《原典・臨済録/引用・山田無文著『臨済録』(禅文化研究所)より》

写真 花の蜜を集める虫たち