栞いろは歌  禅のことをもっと…

雨過夜塘秋水深(あめすぎてやとうしゅうすいふかし)

臨黄ネット栞「あ」 雨過夜塘秋水深(あめすぎてやとうしゅうすいふかし)

谷川のせせらぎの音を、琴と聞いておったが、いつのまにやら大雨が降って、夜の溜め池に秋の水は深い。生田川も淀川も水満々だ。一曲両曲どころではない。天地いっぱい、山は是れ山、水は是れ水。三界無法どころではない。森羅万象、淀川の水が満々と湛えるごとく、天地いっぱいの有だ。どうしたことか。この有が分かるかナ。三界無法がそのまま森羅万象、羅列の姿だ。これを三界無法と見るか、三界有法と見るか。しっかり眼を開いて見なければならんであろう、と。

《原典・碧巌録/引用・山田無文著『無文全集』第二巻「碧巌録」(禅文化研究所)より》

写真 滋賀/永源寺の紅葉 音無川を見下ろす