栞いろは歌  禅のことをもっと…

応病与薬(おうびょうよやく)

臨黄ネット栞「お」 応病与薬(おうびょうよやく)

遺教経に、「良医の病を知って薬を説くが如し」とある。お釈迦さまは、名医が病気にふさわしい薬を与えるように、衆生の心の病に応じてふさわしい説法をなさる。応病与薬だ。こういう言葉がお経の中にある。拝みさえすれば病気が治る、お祈りをすれば病気が治るという迷信は仏教の中にはない。お釈迦さまには耆婆という医者がいつもついていて、薬で病気を治すのだ。仏教では病気を治す仏さまは薬師如来ということになっておる。薬師如来は左の手のひらに薬壺を持っておいでになり、薬で治して下さるのだ。仏教はどこまでも科学的な考え方で、迷信は許されん。

《原典・碧巌録/引用・山田無文著『無文全集』第二巻「碧巌録」(禅文化研究所)より》

写真 子育てに励むツバメ