黄檗宗は、中国・明時代の高僧隠元隆K禅師が1654年に日本に来られ、伝え、広めた禅宗の一派です。臨済宗の流れをくんでいるのですが、四代将軍家綱より許可を得て、宇治に黄檗山萬福寺を開くことにより、正式に黄檗宗が認められたのです。

萬福寺は中国明朝の伽藍様式を取り入れて、他の宗派にはない中国風な香りを感じることができる寺院です。
総門の屋根の上には摩伽羅(まから)という像があります。摩伽羅とはガンジス河の女神の乗り物で、そこに生息しているワニをさす言葉です。アジアでは、聖域結界となる入り口の門・屋根・仏像等の装飾に使われています。

天王殿正面には、中国で弥勒菩薩(みろくぼさつ)の化身だと言われている布袋さんが弥勒浄土の兜卒天(とそつてん)に椅坐(いざ)された姿で祀られています。すべての不平・不満を笑い飛ばすかのような福徳円満の相をしておられるので、諸縁吉祥、縁結びの神とされています。また、袋の中には財宝が入っているということから、布袋さんの行く所には幸せがもたらされるとされています。 布袋さんと背中合わせには韋駄天(いだてん)をお祀りしてあります。中国では、韋駄天はお釈迦さまをお守りする護法善神(ごぼうぜんしん)の一つです。
萬福寺では本堂を大雄宝殿(だいゆうほうでん)と呼びます。正面には釈迦如来。その両脇には迦葉尊者(かしょうそんじゃ)・阿難尊者(あなんそんじゃ)というお釈迦さまの十大弟子のお二人が祀られています。左右の壁面には十八羅漢が安置されています。日本のお寺では十六羅漢が一般的ですが、萬福寺では「慶友尊者(けいゆうそんじゃ)」「賓頭廬尊者(びんずるそんじゃ)」が加わって十八羅漢」となっています。
その他にも、木魚の原型だといわれている魚梛(ぎょはん・・・開梛〈かいぱん〉)・卍崩の勾蘭(こうらん)などがあります。
また、黄檗僧がもたらした中国風の精進料理である普茶料理もご賞味して頂けます。
ご開山である隠元禅師が日本に伝えた食べ物としては、皆さんがよく知っているインゲンマメ・筍の木の芽あえ等としてよく食べる孟宗竹・夏によく食べるスイカがあり、寒天の名付けの親でもあります。